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十人十色のからだ

運動療法

お客様の中には、「身体が硬いので、テレビで見たストレッチをしたら股関節が痛くなった」、「腰痛に効く運動というのでやってみたら腰痛が酷くなった」 等という方が結構多くおられます。先日もその様におっしゃる方がいらっしゃいました。

 

テレビ番組ではよくストレッチ本や運動療法の本を出したご本人が指導して、その通りに行うと驚く様な変化が起こるのを放送しています。そして、同じような変化を期待してストレッチや運動を行います。

 

こうした事を行って健康を維持、増進しようという事はとても良い事です。でも自分の身体の具合を知らずに、そのまま同じように行ってしまうのは危険です。

 

言うまでもありませんが、人の身体は十人十色。そればかりか、身体は毎日変わり、更に一日の内でも状態は変わります。2人の人が同じ体操、ストレッチを行っても結果は全く違う事は当然ですし、そもそもその体操を行って良い人、そうでない人、腰の体操は良いけど、肩の体操はこの人はしない方が良いなど、、、。体操やストレッチを行って、かえって痛みが出る、酷くなる事を防ぐには慎重に行わなければいけません。

 

身体のしくみは繊細で、例えばふくらはぎのストレッチを念入りに頑張ったのに、背中が痛くなってしまったという事もよくあります。筋膜のネットワークが絶妙にバランスを保っているからです。

 

こうした事を防ぐ対処方法としては、まず整形外科、整骨院、ジムなどに行かれている方はその道のプロに相談する。「この体操、ストレッチをやろうと思っていますが、私はそれをしいても良いですか?」と訪ねます。特に、軽くてもヘルニアやすべり症等、他にも持病のある方は医師に確認する事が大事です。股関節に持病があるけど、腰のストレッチだからしても大丈夫、とは限りません。年齢と共に身体は硬くなり、筋肉や関節は柔軟性が失われている事が多く、思わぬところが痛んだりします。筋膜で繋がっているからです。

 

特に通院などしていない、普段運動を定期的に行っていない人は、トライしたい体操、ストレッチをゆるやかに始める。

テレビで見たのと同じペースでとか、本に書いている回数を守って、等を気にせず、初めは「これで効いているのか?」と思う程の強度で行う方が良いです。どの体操、ストレッチや運動を行うにも、自分の身体の反応を逐一確認し、「ここまでなら出来る。これは今は痛いから無理。」など、身体を対話をしながら進めて行き、自分の身体に合ったものを見極めます。

 

決して頑張りすぎない。力を抜いて気楽に行う。「いた気持ちいい」の少し手前くらいの強度を時間をかけて、じんわり、ゆっくり行う方が筋膜は伸びやすいのです。

 

痛いくらいの方が効いていると思いがちですが、そうではないのです。

そして、ゆっくり身体のペースに合わせながら続けていると、ある時ふっと、「あれ?なんか身体が軽くなっている様な気がする、、、」と感じる瞬間が普段の生活の中であると思います。