今、ここ、内側の感覚

8月の終わりに長い休みを頂き、学びの時を過ごしてきました。

 

講座は少人数制の為いつも講師が見守ってくれ、新しい手技もこれまで行っていた手技も一つひとつを更に丁寧に、精度を上げてからだの奥に深く触れる為に、施術をする、施術を受けるを毎日繰り返しました。

 

相手のからだの深部にまで届く様にする為に、手や足の僅かな角度、骨盤の傾き、体軸体幹の意識、上虚下実の状態を保つ、自分のからだを信頼して触れる等々、相手のからだにも、私自身のからだにも沢山の意識を向ける時間でした。

 

セッションの後は、ゆっくりとした静かな時間を毎回十分に取り、その時その瞬間のからだとこころの奥に意識を向けて相手にそれを伝えます。

 

施術をした側は、上手く出来た、出来なかったという自分に対する「評価」はせず、例えば、○○に触れた時○○な感覚だった、あの体勢でやった時背中に違和感があった、○○の部分では肩に力が入っている事に気付いた、等具体的に自分の味わった感覚を言葉にします。

 

施術を受けた側は、右の○○を触れた時痛かったけど左は痛くなかった、○○が凝っていた事に初めて気が付いた、手が温かかったので自分の冷えが気になった、○○を触られた時、離れた○○に何かを感じた、○○に触れられると落ち着いた等、微細な感覚にも目を向けて具体的に伝えます。

 

そして両方とも、セッションが終わったその時、その瞬間の自分の内側の感覚にも耳を傾けてみて、お腹の奥が熱くなっている、重心が後ろに移った感じがする、目の奥が緩んでいる、からだの中に風が通っている感覚がある、右膝が何か前よりも気になり始めた、左右の足の感覚が少し違う、呼吸をさっきよりゆっくりしている、足の裏がしっかり床に着いている気がする等、今、ここ、自分のからだの中で感じている事を伝えあいました。

 

自分の中の感覚に気付く事は、忙しい毎日、外からの沢山の刺激や情報の多い現代を生きる大人にはとても難しい事になってしまっています。そして感じていても、それをじっくり味わったり、その意味を考える事無く生活している場合、その感覚を言葉にして発するという事が更に難しいものになっていると思います。だから感じていてもいざ相手に伝える、となると意外と上手く言葉に表現出来ない事が多くあります。

 

このからだの内側の感覚を捉える力は、私達が私達自身の感情を感じ取ったり、周囲の人の感情に気付いたりする力と深く関係している事が脳や神経の専門家による研究で最近明らかになってきています。

 

からだの感覚に気付く事は、自分のこころに気付く事。本当の自分に気付く事に繋がると、触れる、触れられるのセッションを繰り返し、感覚を伝える事で改めて確信出来ました。

 

そしてその内側の感覚に気付きをもたらす触れ方は、ゆっくりと、しっかりとからだの深部、奥にまで届くよう触れる事。

 その触れ方を全ての瞬間に出来る様に、大切にセッションをしたいと改めて感じました。