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こころが狭いのではない

からだとこころの相互関係を感じる話をある人がしてくれました。

 

「私はこころが狭いので、その車いすの人の手伝いをし続ける事を止めてしまった」

Aさんは、自分も痛いところがあるけれど、いつも率先して手伝っていたんです。でも最近体調が悪い日やからだに痛みがある日が増えてきて、Aさん自身も辛い時を過ごしていました。いつしかAさんが手伝いをする事は当たり前と捉えられるようになり、体調の優れないAさんはそれを負担に感じる様になったそうです。そうして少しずつ車いすの人から遠ざかって行き、手伝う事を止めたんです。

 

ある時、数人のグループで遠出をする事になり、車いすの人は行きたかったのだけど、目上の人から他の人に迷惑がかかるからやめておきなさいと言われ、一緒に行く事が出来なかったそうです。その時、グループの中の一人が、「車いすの移動が難しいところは私が担いで連れて行ってあげたのに、来れば良かったのに」と言ったのを聞いて、Aさんは自己嫌悪に陥ってしまったんです。

こんなに優しい人がいるのに、私は普通に手伝う事からも遠ざかったしまっていた、と。

聞くと担いであげると言った人は、Aさんの3倍食事をし、声は大きく、いつも元気はつらつとした人だそう。

  

Aさんはとても優しい人で困っている人を放っておかない人です。でも、Aさんのからだの不調は、その優しいこころに影響し、いつも元気はつらつとしているその人のからだの健全さは、こころ持ちも健やかにしているんだろうなぁと思いました。

 

Aさんは、こころが狭いのではない。ただ、からだが辛かったのだから、自分を責めないで欲しいと思いました。日常の人との関係、感情、こころの動きに、からだの在り方が影響を及ぼしている事を実感するエピソードでした。